味の牛たん喜助

味の牛たん喜助が語る「キッパ加工」の真髄|創業50年の伝統技術

なぜ、仙台の牛たんは厚いのに柔らかいのか?

「仙台の牛たんは、どうしてあんなに分厚いのに、サクッと噛み切れるのだろう?」一度でも味わったことがある方なら、きっと誰もが抱く素朴な疑問ではないでしょうか。その答えは、「キッパ加工」と呼ばれる、繊細な手仕事に隠されています。これは単なる下ごしらえではありません。素材の持ち味を最大限に引き出す、日本料理の伝統に通じる奥深い包丁技術なのです。私たち「味の牛たん喜助」が、創業以来50年間、魂を込めて受け継いできたこの技をご紹介します。

1. 「キッパ」に宿る、日本料理の心

 「キッパ」という言葉の由来は、魚の開きを意味する英語の「kipper」にあると言われています。しかし、その本質は、素材の特性を見抜き、包丁一本で新たな食感と味わいを生み出す、まさに日本料理の真髄です。硬い鱧(はも)の骨を断ち切る「骨切り」のように、丁寧な仕事で素材を最高の状態へと昇華させる。私たちは、この「キッパ加工」に、古くから続く日本古来古来の調理法なのです。

2. 元祖「太助」が生んだ、仙台牛たんの革命

 そもそも牛たんは、何もしなければ非常に硬く、厚切りのまま焼いて美味しく食べられる部位ではありません。戦後の仙台で、この硬い牛たんをいかにして絶品料理に変えるか。その難題に挑み、答えを見出したのが、仙台牛たん焼きの元祖「太助」の初代親方でした。親方は、牛たんに無数の切れ込みを入れることで、硬い繊維を断ち切り、驚くほど柔らかくジューシーな焼き上がりを実現したのです。この革命的な発想こそが、今日の仙台牛たん文化の礎となりました。私たち喜助は、この偉大な先人の技術と伝統のバトンを固く受け継ぎました。

3. 喜助のこだわりが詰まった「キッパ加工」4つの効果

一枚一枚の厚切り牛たんに施す無数の切れ込み。その手間は、最高の味をお届けするための熟練した技術です。

  • 感動的な柔らかさ:熟練の職人が見極めた深さで繊維を断ち切ることで、厚切りならではの食感を残しつつ、サクッと噛み切れる感動的な柔らかさを実現します。
  • 染み渡る伝統の味:切れ込みの一本一本に、秘伝の塩やタレが深く染み渡ります。噛みしめるたびに口の中に広がる旨味は、この手仕事なくしては生まれません。
  • 最高の焼き加減:均一に熱が伝わることで、表面は香ばしく、中はジューシーという理想の焼き上がりを可能にします。
  • 食欲をそそる見た目:焼き網の上で花開くように現れる美しい焼き目模様。これもまた、美味しさを演出する大切な要素です。

4. 伝統を受け継ぎ、未来へ。喜助職人の誓い

仙台牛たんの伝統を未来へと繋いでいくこと。それが、私たち喜助が創業以来、胸に抱き続けてきた想いです。今もなお、喜助の専用工場では、熟練の職人が一本一本の牛たんと真摯に向き合っています。牛たんの個体差を見極め、包丁を入れる角度、深さ、間隔を瞬時に判断する。それは、マニュアルでは決して表現できない、長年の経験と勘がなせる技です。

機械に頼れば効率は上がるかもしれません。しかし、私たちは手仕事ならではの温かみと、創業から受け継がれる味へのこだわりを、これからも守り抜きます。このキッパ加工に込められた職人の想いもまた、50年間愛され続ける「喜助の味」を支える大切な柱のひとつなのです。

ご家庭で味わう、職人の技「職人仕込牛たん」

この職人技の粋を集めたキッパ加工は、私たちの看板商品「職人仕込牛たん」にも、もちろん施されています。店舗で味わう感動をそのままにご家庭でもお楽しみいただけるよう、一枚一枚心を込めて仕込んでおります。ぜひ、ご家庭で本格的な仙台牛たんをご賞味ください。